A Special Trade
先日は僕の誕生日。
特別なことは何もしなかったけれど、その日は、ある考えが頭に浮かんだ。
「明日、僕のお気に入りの居酒屋で、ブルース先生と食事に行こう!」
誕生日の次の日、僕はブルース先生とレッスンはそっちのけでいつものようにいろんな話をした。僕は主に学校のことや生徒のこと。ブルース先生は自分の健康のこと。彼は足が悪くて、時々たんの絡まった咳をする。
日ごろから彼の体調を気にかけていた僕は、沢山の質問をしていた。だって、心配なんだもん。ご飯は何を作って食べているの?とか、足は大丈夫なのかい?とか、病院行ってよ!とか。とにかく、いろんなことを矢継ぎ早に質問していた。
それで分かったことがある。
ブルース先生は病気を抱えているってことを。
残念だけど。
悔しいけれど。
泣きたくなったけれど。
でも、彼はいつものように心静かに落ち着いて語っている。
それはまるで恐怖を乗りこえた戦士みたいに。
悟りを開いた僧侶のように。
心乱すことなく、静かに語るんだ。
自らの病気のことをね。
彼は45歳の時から遺伝で筋肉が死んでいく病気にかかっているんだって。
筋ジストロフィーなのかと聞くと、違うと答えてくれたのでほっとした。
もっと進行が遅い筋ジストロフィーのようなもの、と教えてくれた。
僕はとても悲しくなった。
ブルース先生はもうすでに失われた右手の筋肉を見せてくれた。ペンの持ち方がおかしかったのもそのせいかと妙に納得した。それから足首が上下に動かないので歩くのが困難で、両足にブレースを入れているのも見せてくれた。やっぱり僕は泣きたくなった。
僕は泣くのを我慢して、今日給料日だからと、ブルース先生を食事に誘った。
彼は快くOKしてくれ、忙しいにも関わらず僕との時間を取ってくれた。
日本料理にお互い舌鼓を打ち、僕らは互いの過去やこれからのことを語りあった。
どうしてこんなに気が合うんだろうな・・
本当のおじいちゃんみたいだ・・
この人を大切にしようと思った。
そしていつかお返しをしようと決めた。
12月にはアメリカに帰ってしまう、ブルース先生。
僕はその後を追うつもりだ。
アメリカに行けるといいと思っている。
君は、応援してくれるかい?
このお話はとても素敵なお話です。
だから何も聞かず読んでみてください。
今僕は考えています。
僕がブルース先生にできる最大なことは何なのかと。
この本みたいになにか特別なTRADEができたらいいなあと思います。
それでは。
君にも愛を!
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